APR. 2015


FORUM ARCHIVES:   FEB 2015  

 

     この意見広告に署名したのは、米国をあらたな戦争にひきずりこもうとする試みに反対するユダヤ系米国人と非ユダヤ系米国人である。(2400人を超す署名者リストはwww.tikkun.org/AdSignatories 参照)。

    思い起こすのは、ブッシュ政権が私たちをだましてイラク戦争をひき起こしたことだ。同政権は、ありもしないイラクの核兵器のニセ情報を流して核脅威をいいたてた。いま、米国やイスラエルの軍事優先主義者が、イランの「核脅威」をいいふらし、恐怖をあおって米国民を戦争に導こうとしている。

   イラク戦と同じシナリオを繰り返してはならない。それは、米国やイスラエルをはじめ世界中の人々の利益に反することだ。気に食わない他国を「邪悪」ときめつけて制圧する戦略が、「国家安全」の第一歩だと米国やイスラエルはいいつづけてきた。しかし、その戦略は破産している。

 過去5000年間にわたって、武力、暴力、戦争、爆撃、拷問、そして抑圧が試みられてきたが、世界平和や安全は生み出されなかった。いまこそ、あらゆる形態の制圧戦略から、「寛容政策」への方向転換が求められている。

    米国は、イラクやアフガニスタンとの戦争で100兆円超を浪費した。その結果、米国によってイラクを弱体化し、その地域に武装した「イスラム国」を入り込ませることになった。同じ100兆円で、世界や米国の貧困、ホームレス、飢餓、不十分な教育・医療をなくすための「世界マーシャル・プラン」(*)をたてることができる。

    それによって、いかに米国が他国の人々の福利に心をくだいているかをも世界に示すことができる。(その一例として、エリソン米下院議員が主導し他の20数人の議員も賛同した決議が米国議会に提出されている。www.tikkun.org/gmp 参照)

   私たちが軍事や経済力を使うのではなく、寛容と謙虚さ、他国の文化を尊重すると世界を納得することができれば、暴力に訴えて「西側」と対抗しようとするイスラム原理主義者らが戦士を募ることは難しくなるだろう。同様に、イスラエルが寛容の精神をもってパレスチナ人に対応すれば、はるかに安全なイスラエルを達成することができるだろう。

  「そんな考えは夢だ。現実を見よ」とあざける人々もいるかもしれないが、そういう「現実主義者」の戦略は何千年にもわたって失敗を続けているのだ。ここに署名した人々のなかには、第二次世界大戦のような極端な事態や、「イスラム国」を阻止するためには軍事力やむなしという人もいる。しかし、そういう人たちも含めて、私たちは今こそが他国の人々に寛容と配慮を示すチャンスだと信じているのだ。

 資本主義の本質である物質優先や脅しで勝利をえようとすることは、私たちや私たちの家族、そして世界の人々に破壊的な影響をもたらす。「さらなる戦争や制圧ではなく、今こそユダヤ人のいう「tikkun」―癒しと変革―の時機である。


(*)マーシャル・プランは、米国務長官マーシャルの提唱で始まった第二次世界大戦後の「ヨーロッパ復興計画」。米国主導の経済復興として批判もあるが、ここでは戦争と対比して世界の貧困などをなくす平和的とりくみとして象徴的に引用されている。


  写真:円道まさみ